殿下

エリオット

彼女が出て行ってから数分間、俺はその場で待った。彼女に一人の時間を与えるには十分だが、後を追いたくないふりをするには短すぎる時間だ。首の後ろに手をやり、髪をかき上げながら、無意識に止めていた息を吐き出す。

彼女は俺に寄りかかって眠ってしまった。

そして、俺のベッドで目覚めた。

それなのに、俺はすべてを台無しにはしなかった。

それだけでも、何か意味はあるはずだ。

それでも、彼女の部屋へ向かいたくなる衝動は、断ち切れない糸のように俺をぐいぐいと引っ張った。無事かどうか確かめるだけだと自分に言い聞かせたが、それは自分でも飲み込めない嘘だった。俺はベッドから身を起こし、子供の頃...

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