夜明け。

体中の本能が、動けと叫んでいる。あの番兵どもを八つ裂きにし、洞窟へとなだれ込み、ただ意志の力だけで彼女を奪い返したい。だが、エンヴィーの手が俺の腕をしっかりと掴み、忍耐と血で鍛えられた鎖のように俺をその場に縛り付けていた。

「待つのよ」彼女は洞窟の入り口から決して目を離さずに言う。「少なくともあと数時間。相手の正体が正確にわかるまではね」

その言葉に、苛立ちで奥歯が浮くような感覚を覚える。「もう何日も待ってるんだぞ」

「そして、彼女はまだ生きている」エンヴィーは平然と答える。「それは忍耐が功を奏している証拠よ」

言い返したい衝動を必死で抑え込む。彼女が正しいからだ。そして、彼女が正しいという...

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