地獄へのサイドドア。

時は来た。脇の入り口は、断崖の表面に刻まれたギザギザの裂け目に過ぎず、垂れ下がる木の根と腐敗臭の陰に半ば隠れていた。地面は古びた血で滑りやすく、その色はどす黒くタールのように粘ついている。穴から漏れ出す風は、何百匹もの「はぐれ者」たちの臭いを運んでくる。最初に動いたのはラヤだ。そのヘルハウンドの姿は、肉体を持った影のように揺らめき、鋭い爪が泥に沈み込む。

「ここの結界は弱いわ。手遅れになるまで、奴らは私たちが来ることに気づかない」

エンヴィーの瞳が、冥界の淡い光の下で冷酷かつ激しい青色に煌めく。彼女は背中に手を回し、滑らかで計算された動きで双剣を抜いた。鋼が擦れるその音は、どこか厳かですら...

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