ただ私といっしょにいてくれ。

エリオット

ポータルが低い唸りを上げて背後で閉じると、空気は冥界特有のあの重たい質感へと変わった。影が曲線を描いて俺たちを包み込む。いつもならその暗がりに安らぎを覚えるはずだが、今の俺は胸の奥が早鐘を打っていてそれどころではない。俺たちは王国の裏庭に立っている。まるで世界が一度大きく息を吐き出し、彼女をここへ連れ戻すために一巡したかのような感覚だ。

手は繋いだままだ。それが問題なのだ。この手どうすればいい? いや、彼女をどうすればいい?

俺はあまりに長い間、彼女という「概念」を、彼女を取り戻すという夢を追いかけ続けてきた。救い出し、守り、再び巡り会うこと。起きている間はずっと...

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