待っていました。

メイスの笑い声が部屋いっぱいに満ちる。明るく、息を弾ませて。その響きは、俺が長い間ずっと心の奥底に封じ込めていた何かを、強引に引きずり出そうとする。高鳴る脈動が鎮まらない。彼女が動くたび、その髪が俺の肌を掠めるたび、あたりの空気が重く澱んでいくようだ。彼女が笑いながら身を引こうとした瞬間、その声が俺の胸を真芯から貫いた。自分でも止める間もなく、低い唸り声が喉の奥から漏れ出る。それは柔らかく、無意識のもので、けれど俺が意図したよりもずっと荒々しい響きを帯びていた。

彼女が目を見開く。頬が一気に朱に染まり、心臓が一度高鳴る間、俺たちは互いに身動き一つしなかった。

「メイス」俺は静かに名を呼んだ...

ログインして続きを読む