ここ?

どこへ行くのかと尋ねる間もなく、大気が歪んだ。エンヴィが私の手を取り、もう片方の手でエリオットへと手を伸ばすと、力の波紋とともに世界が内側へと折り畳まれていく。影と星明かりが絡み合い、焚き火の傍で響いていた笑い声は、突風と魔法の流れの中にかき消された。ほんの一瞬、体が宙に浮いたような感覚に襲われる。次の瞬間、ブーツの底が再び大地を踏みしめた。周囲は静寂に包まれている。私たちは広大な空き地に立っており、頭上にはこれまで見たこともないほど明るい満月が輝いていた。草は微かに銀色の光を帯び、太古の何かが脈打つような低い唸りに合わせて波打っている。美しい。どこか畏怖を覚えるほどに美しく、その美しさには確...

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