クイーン・アセンズ

【メイシー】

数年前の私に、「あんたは冥界の城に立って、運命の相手の隣で女王として戴冠する準備をすることになるよ」なんて言ったら、きっと鼻で笑い飛ばしていただろう。でも今は? 結局、私は笑っている――なぜなら、エンヴィーが神がかった竜巻のように部屋中を駆け回り、凶器みたいにヘアブラシを振り回しているからだ。

「今日はあんたのハレの日なのよ、メイス! じっとしてないと、カーテンと一緒に編み込んじゃうからね!」

「それ、一時間前にも言ってたわよ」レイナがドレスの裾(トレーン)を直しながら鼻を鳴らす。

「だって、この子が動き続けるからじゃない!」エンヴィーはお手上げといった様子で叫ん...

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