祝福

【メイシー】

冥界にいても朝が訪れるというのは、なんだか不思議なものだ。高い窓から光が差し込んでくる。それは太陽の光そのものではないけれど、心を欺くには十分に近い。宮殿は静まり返り、一日が始まる前のあの柔らかな静寂に包まれている。隣ではエリオットがうつ伏せで眠っており、片腕を私の腰に回し、肩に一定のリズムで寝息をかけている。ほんの少しの間だけ、地上で待ち受けていることなど何もないのだと、自分に言い聞かせる。気まずい会話も、過去の亡霊も、そこにはない。ただ私たち二人だけ。

私が少し身じろぎすると、彼は反射的に腕の力を強めた。「あと五分……」眠気の残る掠れた声で彼がつぶやく。

口元が...

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