全神さまの呪われた世界。

エンヴィー

「俺の番(つがい)には、ワイルドなところがあってほしいと願ってたんだ」ハイデンが吐息交じりにそう言った。その言葉には、彼という存在の隅々にまで染み込んでいるような、畏敬と茶目っ気が入り混じった彼特有の響きがあった。「さて、ここから抜け出せればいいんだけど……」

彼の手の一つが鋭い爪へと変わり、太く絡まったロープを切り裂き始めた。ロープは一本また一本と外れ、俺たちの周りで緩んでいき、最後には完全に力が抜けて崩れ落ちた。それでも私は動かない。指先を通して彼の体温がまだ伝わってくるから。番の絆が、優しく、電流のような微かな震えを私の全身に送ってくるから。私の掌の下で彼の心臓が...

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