悪党

エンヴィー

バイクの限界に挑んでいることは分かっている。でも今は距離が必要だ。空間が欲しい。私が「番(つがい)」だと主張する四人の巨漢たち以外なら、何でもいい。私にはまだ自分の狼さえいないというのに。彼らが感じているらしい「絆」とやらを、私は微塵も感じることができない。あんな男たちと結ばれるかもしれないなんて考えただけで、胃がねじれるような気分になる。

最初の一人――私のことを「番」と呼んだ男――彼は……息をのむほど美しかった。背が高く、タトゥーが入っていて、危険な香りのする男がタイプなら、間違いなく妄想の対象になるような男だ。石から削り出されたような筋肉、ガラスをも切り裂きそうな...

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