チャプター・ワン

アドリック視点

目が覚めると、セフィの指先が俺の胸元で遊んでいた。彼女の髪に指を通すと、セフィはさらに身を寄せてくる。俺は少しの間、彼女を強く抱きしめた。あいにく、今朝はあまり時間がない。

彼女の背中の素肌を指でなぞりながら、そこに刻まれたすべての傷跡を感じ取る。彼女がこれまで耐え抜いてきた苦難に思いを馳せていると、胸からふっと重みが消えた。彼女は顎を俺の胸に乗せ、まだ眠気の残る瞳でこちらを見つめていた。

俺は微笑みかけた。朝の彼女は愛らしい。特に、まだ起きたくないと駄々をこねているような時は格別だ。昨夜、遅くまで寝かさなかったことに少し罪悪感を覚えたが、どうしようもなかった。俺...

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