第百十二章

セフィ

ミーシャはイヴァンの方を向いた。「この話を聞いたら、お前絶対喜ぶぜ。俺たちがここを発った翌朝、屋敷に行ったんだ。セフィが行きたがってさ。着いたら、アンドレイの奴、ビビりまくってやがんの。戻ってきてからトリと口をきいてなかったからな。で、当然セフィが策を練って、俺たちが入る前にアンドレイ一人を先に屋敷に行かせようとしたんだ。彼女と二人きりになる時間を作るためにな」

私はアンドレイを抱きしめる腕に少し力を込めた。「うん、あれについては、私が意地悪だったわ。ごめんね」

彼は笑った。「意地悪だったけど、許すよ」

ミーシャが話を続けた。「行ってみたら、トリはいなかった。買い出...

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