第十七章

アドリック

ペルセポネが隣人と話している間、俺はタバコに火をつけることにした。深く煙を吸い込みながら、思考が空回りする。なぜアンソニーの居場所について確かな情報が入らないのか。あのクソガキごときが、街のこれほど多くの人間から忠誠を得られるはずがない。協力者がいるに違いない。つまり、俺の組織内に裏切り者がいるということだ。アンソニーの一件以上に、その事実が俺を苛立たせた。

親父からこの稼業を引き継いだ時、俺はすべての決断において公正かつ合理的であろうと努めた。親父は冷酷無比で知られ、必要以上に強欲だったかもしれない。だが、その悪名の高さゆえに、誰も面と向かって文句を言う者はいなかった...

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