第百九十七章

*セフィ*

アドリックは私を二階へ連れて行き、そのままシャワー室へと向かった。筋肉はすでに痛み始めていたし、手も痛む。文字通り、そして比喩的な意味でも、私の手は血にまみれていたが、今となってはそれが自分の血なのか、彼の血なのかもわからなかった。

アドリックに温かいお湯の下へと引き寄せられると、筋肉がほぐれていくのがわかった。私は彼を見つめ、ついさっき起きたこと、そして本来感じるべきはずの感情がないことへの戸惑いに思いを巡らせた。

「ねえ、さっきのことに罪悪感がないって、どういうことなのかな? マイクを見下ろしていた時も、叔父さんの時と同じ気分だった。完全に『無』だったの」

話しながら彼...

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