第二百七章

【アドリック】

「手間なんかじゃないさ、トリノ。何があった?」

「俺のトップの売人の一人が言ってたんだが、『ブローン』について嗅ぎ回ってる男がいるらしい。最初はサツかと思ったそうだが、あまりに質問が多いんで問い詰めたところ、お前の『可愛い天使』の名前を出して、俺に確認しろと言ったそうだ」とトリノは言った。

セフィが口を挟む。「それはチェンよ、トリノ。彼、私のために聞き込みをしてくれてるの。昔の隣人なのよ。あなたの売人なら誰でも力になってくれるって伝えたんだけど、もし舐めた態度を取られたら私の名前を出せって言っておいたの。気に障ったらごめんなさい」

「ミハ(お嬢ちゃん)、声が聞けて嬉しい...

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