第二百八章

アドリック

彼女が出て行ってからも、集中するのはほんの少し楽になった程度だった。頭の中は彼女のことでいっぱいだったのだ。残りの会話をどうやって乗り切ったのか自分でも分からないが、とにかく一刻も早く電話を切りたくてたまらなかった。俺はバスルームを出て、彼女の姿を探した。寝室に入ると、彼女はベッドの上で丸くなり、俺を見て微笑んでいた。

「お前は少しばかり意地悪だな、ソルニシコ」

俺はそう言うと、シャツのボタンをさらに二つ外し、頭から引き抜くようにして脱ぎながらベッドへ向かった。俺がシャツを脱ぎ捨てて近づいていくのを見つめる彼女の表情。それを見ているだけでたまらない気持ちになる。俺がベ...

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