第二十二章

セフィ視点

気がつくと、私は懐かしくも薄汚れた、あの古い家にいた。手入れもされず荒れ果てた場所。鼻をつくのは、いつまでも消えない汗の臭いだ。その臭いが、ここに住んでいた頃に常に感じていたあの吐き気を呼び覚ます。

いや、いやだ。戻りたくない。私は逃げたはず。あいつはもう私に触れられない。私がどこへ行ったかも知らないし、わざわざ探すようなマメな性格でもないはずだ。

頭の中で、私の名を叫ぶ聞き覚えのある怒声が響いた。

「セフィ! 今すぐここに来やがれ!」

いつものパターンだ。実際にはあいつ自身の過ちなのに、それを私のせいだと思い込み、怒鳴り散らすつもりなのだ。酔っ払って何も覚えていないく...

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