第二百四十五章

*アドリック*

取引相手たちが会議室を去り始め、残るはアルマンドと数名だけとなった。セフィは、アルマンドが別の関係者とイタリア語で熱心に話し込んでいるのに気づいたようだ。俺が彼女に視線を送ると、彼女は即座に忙しそうな振りをしながら彼らに近づいていった。俺は彼女が会話を聞き取れる距離まで近づくのを目で追ったが、彼女はアルマンドの視界には入らない位置を保っていた。

彼が話している相手は、俺というよりアルマンド側の人間だ。今回初めて組む相手だから、会議にいた他の連中ほど詳しくは知らない。だがアルマンドが信頼している男だ。だから投資家として招き入れるのを許可した。かなりの資産家らしい。アルマンドに...

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