第二百四十六章

【アドリック】

「トリーノ、あんたが聞いたら面白くない話がある」俺は切り出した。

「単刀直入なのは大好きだぜ、ヘフェ」トリーノは笑いながら言った。

「セフィが、アルマンドと同業者の会話を立ち聞きしたんだ。奴らはイタリア語で話していたから、誰にも聞かれないと高を括っていたらしい」

「アルマンドの野郎、彼女がイタリア語を解るって知らねぇのか? つまり、彼女が俺とマーティンにそう明かした時、あいつもその場にいたはずだろ。あいつの頭は鳥並みか?」トリーノが尋ねた。

セフィは声を上げて笑った。「彼の視界に入らないようにしてたのよ、トリーノ。必要な時は透明人間になれるの」

彼はくすりと笑った。...

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