第二百六十二

セフィ

寝室を抜けてアドリックの書斎に入ると、彼はデスクに向かっていた。目の前の書類に没頭しており、私には気づいていない。私は入り口で足を止めた。最近、私たちはお互いの感覚を十分に感じ取れるようになっていたので、何が起こるか少し試してみたくなったのだ。

家にいるとき、彼はシャツを着るのをひどく嫌がるのだが、私はたまたまそれがたまらなく好きだった。私は入り口に立ち、彼が何であれ思索に耽っている様子を見つめながら、自分の思考を「どれほど彼を愛しているか」という一点に集中させた。彼を想うときはいつでも体に広がるあの温かさを感じ、その熱を彼に向けて押し送ってみた。気づくかどうか試すために。...

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