第三十一章

アドリック

俺たちは三台の車に分かれて屋敷を出た。俺の車にはイワンとヴィクトルが同乗し、ステファンとミーシャがそれぞれ別の車を運転する。二台で行くこともあれば、三台の時もある。今回は何が待ち受けているか確信が持てなかったため、三台で行くことを選んだ。街中に泊まるわけではなく屋敷に戻る予定だったので、誰にも尾行されないようにしたかったのだ。台数が多いほうが、追っ手を撹乱するのに都合がいい。

サルヴァドーリが息子について話し合いたいと、面会を求めてきたのだ。彼はまず息子の非礼を詫び、皆が納得できる案があると言ってきた。実際には俺が納得できるような代物ではないだろうが、とりあえず話だけは聞いてや...

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