第三百十四章

アドリック

彼女は俺に三角巾を手渡すと、腕を固定するのを手伝ってくれという仕草をした。「わざと冷たくしてるのよ。目が覚めるでしょ」彼女はそう言って、にやりと笑った。俺が舌打ちを返すと、彼女は瞳の色を暗くさせて応戦してくる。

俺は小声で悪態をついた。「それは卑怯だぞ」そう言いながら、俺は彼女を限界まで強く抱き寄せた。そのまま顔を寄せ、膝の力が抜けるほど情熱的に口づけをした。俺の舌は、彼女が拒む隙など与えずに口内へと侵入する。もっとも、彼女に拒むつもりなどなかっただろうが。膝を崩れさせてやろうと思っていたのに、俺自身も彼女を完全に貪り尽くしたいという衝動と戦う羽目になった。彼女の力がふ...

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