第四十三章

アドリック視点

夕食後、まだ日が完全に沈んでいなかったため、彼女は散歩に行かないかと聞いてきた。俺たちは敷地内を比較的静かに歩き、少し離れたところを警護の者がついてきた。彼女は物思いに耽っているようだった。これほどの沈黙を心地よく感じていられることに、俺は正直感心していた。

俺は定期的に彼女を盗み見た。周囲の景色を目に焼き付けている彼女の姿を。薄れゆく日の光が、赤やオレンジのグラデーションを描く彼女の髪を、まるで本物の炎のように見せていた。夕日は彼女の瞳の茶色をも際立たせ、角度によっては瞳の色が髪の色とほとんど同じに見えるほどだった。

俺が見つめていることに気づいた彼女は、そっと近づいて...

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