第四十五章

セフィ

目を覚まし、ゆっくりと背伸びをした。当然のように隣にアドリックの体があるものと思っていたのに、そこにあったのは冷たいシーツの感触だけだった。私は上体を起こし、こんな時間になっているとは気づかずに、彼の姿を探した。サイドテーブルのスマホに手を伸ばすと、彼からの書き置きが目に入った。

『セフィ、

あまりにも安らかに眠っていたから、起こして出かけるのがためらわれたんだ。また君をこの腕に抱ける瞬間まで、分単位で時間を数えていることを知っておいてほしい。

――A』

スマホを確認すると、十二時半だった。みんなが出かけてから、もうだいぶ時間が経っているのだろう。私は服を着替えて、今日の...

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