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セフィ

アドリックはソファの方へ歩いて行き、タキシードのジャケットとネクタイを背もたれに放り投げた。私の元へ戻りながらカフスボタンを外し、ポケットに滑り込ませる。それは、あからさまに見つめることなく、もう一度私の全身を眺めるための口実だった。彼が近づいてくる間、私は手を伸ばし、ミズ・ジャクソンが結い上げてくれた複雑なポニーテールを解いた。たかがポニーテールをどうやってあんなに魅力的に仕上げたのか、私には未だに見当もつかないけれど、彼女の手にかかればお手の物なのだ。

髪が肩に零れ落ちるのを見て、彼は低く唸った。「乱れた髪も好きなんだ」

彼は私の目の前で立ち止まり、その手が腕を伝って...

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