第五十七章

――ミーシャ

「俺の現在地だ。すぐ来い。全員連れてこい」

俺は電話を切り、ポケットに滑り込ませた。片手はセフィを支えたままだ。彼女が頭を打っているのが気がかりで、このまま気を失ってほしくなかった。アドレナリンの効果はいずれ切れる。その反動で彼女が完全に参ってしまうのを避けたかったのだ。

数分もしないうちに仲間たちが到着した。俺たちを襲った男二人は後ろ手に縛られ、SUVの後部座席に放り込まれる。ヴィクトルは事の一部始終を目撃していたターナー氏と話をしていた。何人かの通行人も足を止め、自分たちが見た状況を説明してくれていた。

俺たちは車に乗り込み、ペントハウスへと急いだ。だが、エレベー...

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