第八十四章

セフィ

ローマ郊外を抜けると、さらに小さな町が続いたけれど、これくらいなら私でも楽に対処できる。ナポリに近づく前にもう一度休憩を取った。今回は、車いっぱいの熱狂的な追っかけ女子たちがいないのが救いだ。

「この休憩、つまんない。みんなにファンが群がってる方が面白かったな」駅から車を出発させながら、私は言った。「トリには内緒にしてよ」

アンドレイがため息をついた。「戻ったら、そうも言ってられないかもな」

「ババ! 今度は何があったの?」

「彼女には出発すること、言えなかったんだ。飛行機に乗る前に携帯も捨ててきた。この件が終わるまでは連絡なしだ。俺を待っててくれるとは思えない」

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