第7章

「私……平気だから」

 舌先を強く噛み破り、その鋭い痛みで喉から漏れそうになる喘ぎを強引に飲み込んだ。

「昨夜あまり眠れなくて、少しめまいがするだけ……」

「そっか。じゃあ少し休んでて、家に着いたら起こしてあげるね」

 月菜は全く疑う様子もなく、優しく前へと向き直った。

 ほっと息をつこうとしたその時、隣でずっと沈黙を保っていた義兄の零士が、不意に少しだけ身を乗り出した。その彫刻のように整った美貌には、誰もが信じて疑わないであろう誠実さと克己心が浮かんでいる。

「安心しろ、妹の面倒は俺が見る」

 彼は前の座席に向かって低く声をかけた。その声は落ち着き払っており、感情の起伏など微...

ログインして続きを読む