第12章

この知らせを聞いた篠原菫子の心は急に痛んだ。

藤原和也と夫婦であるはずなのに、まるで他人同然。

それなのに藤原和也が婚約しようとしている相手は、他でもない篠原菫子の仇だった。

そう!

まさに仇敵!

篠原菫子は今でも母の死因がわからない。調べたいと思っても、家に帰る交通費すらなく、お腹には子どもまでいる。

今は何もできない。

ただ耐えるしかない。

遠藤莉子は三歩を二歩に縮めて林田大地の前に来ると、興奮して彼の手を握った「大地、本当なの?藤原さんが本当に月と婚約パーティーを開くって?両家の親を先に会わせるんじゃないの?藤原和也のお祖父さんもお父さんも、月が養子であることを気にしな...

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