第13章

篠原菫子の寝室は散らかり放題だった。

入るなり大きな編み込み袋が口を開けて置かれており、まるで露店商のようだった。袋の中の衣類は乱雑に詰め込まれ、ベッドの上にも衣類が散乱していた。藤原和也はよく見ると、それらの服はどれも極めて安価か、あるいは雑巾のように古びたものばかりだった。

部屋がこんなに散らかっているということは、篠原菫子は彼の100万円を持って逃げたのか?

藤原和也の瞳には何の波風も立たず、ただドアを閉めて車のキーを手に取り、そのまま母親のいる病院へと車を走らせた。

篠原菫子は病院にはいなかった。

藤原和也は再び携帯を取り出し、篠原菫子の番号をダイヤルした。

彼を騙すこと...

ログインして続きを読む