第14章

篠原菫子はハッとした。

今日は藤原和也と林田月の婚約パーティーだということを思い出した。

前日のさらに前、篠原菫子が林田家へ金を届けに行ったとき、林田大地からその話はすでに聞かされていた。

目を上げて林田月の装いを見る。豪華なウェディングドレス、首元のダイヤモンドネックレス、ダイヤモンドピアス、頭上の花冠。

林田月は天女が舞い降りたかのように美しかった。

林田月こそが今日の主役なのだ。

では、自分はここで何をしているのだろう?

自分の身なりを見下ろす。白いシャツにはブロックの粉が付着し、黑いスカートは至る所で毛玉ができていた。

自分は、物乞いに来たというのか?

藤原和也は何...

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