第46章

高橋亮太がふらふらと篠原菫子の前に現れた「篠原、嗅覚が鋭いんだな。今日この豪華客船に金持ちが集まることをどうやって知ったんだ?」

篠原菫子は高橋亮太の皮肉めいた言葉に答えず、微笑みながら尋ねた「高橋さん、しばらく見ませんでしたね。この数日は会社に来てなかったんですか?」

「俺に会いたかった?」高橋亮太はすかさず聞いてきた。

「いいえ……」

「俺に会いたくないなら、なぜここに来たんだ?」高橋亮太の問いかけには、どこか詰問するような調子と不真面目な雰囲気が混ざっていた「この数日会社に行かなかったのは、このクルーズパーティーの準備で忙しかったからさ。このパーティーはY市の金持ちの若さんたち...

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