第51章

男は何も言わずに、立ち上がって部屋を出た。

夏木優奈は笑いながら言った「この子ったら、いつも無口なのよ。菫ちゃん、あなたたち電撃結婚だから、感情の基盤はまだ薄いけど、これからきっと彼の良さがわかるわよ」

「わかりました、お母さん。それじゃあ、和也と一緒に服を買いに行ってきますね?」篠原菫子は甘く微笑んだ。

「行っておいで」

篠原菫子はすぐに後を追って出たが、ドアのところまで来ると、夏木優奈の声が聞こえた「和也、お母さんには外に立ってるのがわかってるわよ。入っていらっしゃい、話があるの」

藤原和也は本当にドアの外に立っていた。母親に呼ばれると、山田宏に「先に彼女を車に連れて行ってくれ...

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