第106章

それからというもの、田原家は貴婦人たちの界隈へ、ひっきりなしに品物を送り続けた。

だが、いくらばら撒いても――注文は一枚たりとも入らない。

さらに田原隆志の神経を逆撫でしたのは、受け取ったはずの貴婦人たちが、誰ひとりとしてそれを身につけて外へ出ないことだった。

「……お前、いったいどういうことだ」

田原隆志は顔色を鉄のように硬くして、妻を睨みつけた。

「品は全部渡したんだろ? なのに、どうして注文が一件もない。ちゃんと『届いて』るのか?」

「届いてます!」

田原奥様はソファに沈み込み、悔しさを噛み殺すように声を震わせた。

「集まりのたびに新作を持って行って、私の手で直接お渡し...

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