第108章

夜の帳が下りるころ、郊外のレストランで、松村礼嗣は約束の30分前にはもう到着していた。

中庭に立ち、珍しく落ち着かない。

林原深川が押さえた店は、たしかにいい。人目につかず、静かで、食後にお茶を飲みながら話すのにちょうどいい。

来る途中、わざわざ花屋に寄って花束まで買ったほどだ。

平原綾香は時間きっかりに現れた。

中庭の設えを目にした瞬間、彼女はわずかに目を見張る。

『ここ、いいね』

松村礼嗣の向かいに腰を下ろす。

『ああ』

松村礼嗣は湯呑みに茶を注ぎ、そっと差し出した。

『林原深川が見つけた。俺も来るのは初めてだ』

料理は一皿ずつ運ばれてくる。繊細なのに気取っていない...

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