第110章

その日、松村礼嗣は執務室で、来週の土地競売に向けた一次案を詰めていた。

ノックの音。林原深川が入ってくる。

『松村様、ご報告が一件ございます』

『言え』

『投資部のほうで、大崎様が推薦されている人材がいまして。投資部マネージャーとしてグループに入れたいとのことです』林原深川は一拍置き、『経歴を拝見しましたが、確かに悪くありません』

松村礼嗣は顔も上げずに言った。

『素性は?』

『一般家庭の出身で、目立った家柄はありません』林原深川は履歴書を一枚、机の上へ置く。『ただ学習能力が高い。本科は国内トップクラスの大学、その後は海外で研鑽を積み、在学中から複数のクロスボーダー案件の運用に...

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