第113章

平原綾香は少し考えてから、松村礼嗣に直接電話をかけた。呼び出し音が二回鳴ったところで、向こうが出る。

『平原綾香?』

松村礼嗣の声には、わずかな意外さが混じっていた。

『こんな遅い時間に、まだ起きてたのか。子どもに会いたくなったか?』

平原綾香は一瞬きょとんとして、それからふっと笑う。

『会いたいのは会いたいけど、ちょっと聞きたいことがあるの』

『聞きたいこと? 明日まで待てないほどの用件って、何だよ』

『このところの取締役会で』平原綾香は静かに切り出した。『配当の回数を増やそうとか、配当額を上げようとか、そういう話……出てる?』

松村礼嗣はすぐには答えなかった。

『……ど...

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