第115章

平原光は小走りで平原綾香のオフィスへ戻った。ドアを押し開けた、その瞬間――ちょうど向こうからも綾香が入ってくるところだった。

『お母さん!』光が息を弾ませる。『話がある』

綾香はそのまま室内へ入り、ソファに腰を下ろした。

『どうしたの。そんなに真剣な顔して』

『遠山景幸おじさん、取締役たちにカジノへ連れていかれてるかもしれない』

綾香の眉が、わずかに寄った。

『確証があるの?』

『確証はない。でも、聞いちゃったんだ』

光は廊下で見たこと、耳に入った会話を、順を追って説明した。

『白髪のおじいさんがさ、「遠山おじさんが昨夜、俺に大勝ちさせてくれた」って。で、数日後にもっと大き...

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