第127章

「――いや、違う」

松村礼嗣は淡々と言った。

「ただの事情聴取だ。緊張する必要はない」

平原綾香は信じきれず、食い下がる。

「でも……会社の利益を侵害した疑いがあるって。根拠は何なの?」

「入札前の社内会議の議事録が出てきた。底値が漏れていると知りながら、俺が当初の案のまま入札を強行して会社に損害を出した――そう書いてある」

口ぶりは、まるで他人事みたいに軽い。

「その議事録、偽造なの?」

綾香の問いに、礼嗣は小さくうなずいた。

「会議で誰かが記録を取っていたのは事実だ。ただ、連中が出してきたものは肝心な部分が改ざんされている」

「じゃあ、どうするの?」

「心配するな」...

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