第128章

平原秋友は手のひらの小瓶をふりふりと揺らし、顔を上げて傷跡のある男ににっと歯を見せた。

『緊張しないでよ。ふつうの水だってば』

傷跡の男は眉をひそめ、今にも怒鳴りつけそうになる。だがその前に、秋友はもうキャップをひねっていた。小さな手がさっと弧を描き、透明な液体が狙いすましたように男の顔面へぶちまけられる。

『てめ……』

男は反射的に目をつぶった。

水が肌に当たった瞬間、鼻腔を刺すような刺激臭が一気に突き抜けた。からしと唐辛子と酢をぐちゃぐちゃに混ぜて、そのまま肺に流し込まれたみたいな、むせ返る辛さ。

『げほっ、げほげほっ――!』

傷跡の男は激しく咳き込み、涙が止めどなくあふれ...

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