第131章

田原隆志は数歩で絵美菜に追いつくと、地面から娘の身体をひょいとすくい上げ、そのまま肩に担ぎ上げた。

『放して! お父さん、放してよ!』

田原絵美菜は必死に暴れた。小さな手足を空中でばたばたさせ、拘束から逃れようとする。

『この臆病者! 放してってば!』

だが田原隆志は聞こえないふりをしたまま、娘の腰をがっちり抱え込み、公園の入口へ大股で向かう。

『助けて! 子どもがさらわれてる!』

絵美菜が喉を張り上げると、通りがかった数人がぎょっとした顔で振り返った。

それでも田原隆志は表情ひとつ変えず、車のキーを取り出してボタンを押す。前方に停めてあった黒いベンツのライトが、ぱちりと点滅し...

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