第133章

次の瞬間、彼女は勢いよく手を伸ばし、松村礼嗣の胸をぐいっと押した。

不意を突かれた松村礼嗣は身体をのけぞらせ、よろめきながら二歩ほど下がって、そのまま背後のソファへどさりと腰を落とす。

顔を上げると、見下ろすように立つ平原綾香がそこにいた。彼の瞳に、わずかな戸惑いが走る。

平原綾香は身をかがめ、低く囁く。

『今度は、私の番』

松村礼嗣は彼女を見上げたまま、理解できないという色を目の奥に滲ませる。

『綾香……』

『しーっ』

平原綾香は人差し指を立て、そっと彼の唇に当てて言葉を封じた。

「私も一度、誰かを支配する側の気分を味わってみたいの」

指先が唇から離れ、ゆっくりと胸元へ...

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