第135章

取締役たちがぞろぞろと病室を出ていき、扉が閉まったその瞬間――松村明也は、ゆっくりと目を開けた。

枕元のスマホを手に取り、迷いなくひとつの番号へ発信する。

『お婆さん、俺だ』

受話口の向こうから、沈村雨のしゃがれた声が返ってきた。

『怪我をしたって聞いたよ。大丈夫なのかい?』

『かすり傷だ。問題ない』松村明也は一拍置き、声を落とす。『お婆さん……あの老いぼれども、もう言うことを聞かなくなり始めてる』

沈村雨はしばらく黙り、それから淡々と言った。

『前から言ってたろう。あいつらは当てにならないって。ようやく分かったかい?』

『……じゃあ、どうする?』

『待つんだよ』沈村雨は言...

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