第139章

平原綾香は扉を閉めると、そのまま背を預けてふう、と小さく息を吐いた。首を左右に振り、独り言めいてこぼす。

『今日はほんと騒がしい。次から次へと来るし、あったかいご飯ひと口も食べられないじゃない』

言い終えるより早く、寝室の扉が開いた。

松村礼嗣が中から出てくる。

『さっき沈村雨に言ったこと、ちょっとストレートすぎないか?』

平原綾香はくすりと笑う。

『先に疑っておかないと、あとで利用するときに逆に怪しまれるのよ』

松村礼嗣が眉を上げた。

平原綾香は続ける。

『沈村雨は一生、誰かを計算して生きてきた人。いちばん信じないのは「相手が簡単に自分の言うことを聞く」ってこと』

『だ...

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