第140章

平原綾香は淡々とした口調で言った。『沈村さん、私にどうしろと?』

沈村雨はすぐには答えず、まずこの執務室を一度ぐるりと見回した。

『この部屋、前は松村礼嗣のものだった』ゆっくりと言葉を落とす。『今あなたがここに座っていて……全部、最初からこうなるべきだったって思わない?』

平原綾香は返さない。ただ静かに、沈村雨を見つめていた。

沈村雨は気まずそうに咳払いをし、視線を引っ込める。

『あなたにやってもらうことは簡単よ』沈村雨は言う。『松村礼嗣の妻として、松村礼嗣が保有する株の経営権を明広に譲渡すると発表して』

平原綾香が眉を上げる。『松村礼嗣の妻?』

『そう』沈村雨は頷いた。『あな...

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