第15章

林原深川が、空気を読むように軽く咳払いをした。

「松村様、このあと海外とのオンライン会議が入っております」

松村礼嗣は、四つ子が突きつけた衝撃からようやく意識を引き戻した。深い色を湛えた目が平原綾香の顔にしばし留まる。何か言いかけたようにも見えたが、結局はわずかに頷いただけだった。

「贈り物は、あらためて用意する」

「平原さん。今日はご苦労だった」

平原綾香は二つのギフトボックスを抱え直し、きちんと微笑む。

「お気遣いありがとうございます。それでは、失礼いたします」

踵を返して歩き出しても、背中に視線が刺さっているのがわかった。廊下の突き当たりを曲がる、その瞬間まで。

綾香は...

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