第16章

平原綾香が疲れきった身体を引きずるように帰宅すると、三つの小さな影が、そろってソファにちょこんと座っていた。

「お母さん!」

真っ先に飛び降りた平原雪子が、とてとてと駆け寄ってきて、綾香の脚にぎゅっと抱きつく。

平原秋友と平原光も続いて近寄り、つぶらな瞳で見上げてきた。

綾香はどうにか笑みを作って膝をつき、三人まとめて胸に抱き込む。

「どうしてまだ起きてるの? もう10時過ぎよ」

「お母さん、待ってたの」

平原光が小さな声で言い、綾香の顔色をじっと確かめる。

隠しきれない疲れと、目尻のわずかな腫れ。

三人はそれだけで何かを察したらしい。

「お母さん……元気ないの?」

平...

ログインして続きを読む