第28章

「よくもあのガキどもに肩入れして、平原綾香まで庇ってくれたわね。だったら――容赦しない」

平原寧々は腹の底でどす黒く吐き捨てた。

母の言葉が、何度も何度も脳裏を巡る。

松村家を出ると、そのまま自分の車に乗り込んだ。

必要なのは、うってつけの駒だ。おばあさまの口に入るものへ細工しても、疑われにくい人間。

そこで、ふと思い当たる。

――大崎だ。

平原寧々の目が、ぱっと光った。

大崎は松村家の厨房で働く補助の使用人で、勤め始めてまだ2年も経っていない。たしか大学へ通う息子がいて、家計はかなり苦しいはずだった。

以前、平原寧々が松村家を訪れたとき、ほかの使用人たちが噂しているのを耳...

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