第37章

慈善晩餐会のオークションが、いよいよ始まった。

平原綾香は人の流れに紛れ、視界はそこそこ利くのに目立たない席を見つけて腰を下ろす。

競りは滞りなく進み、骨董の書画や限定腕時計が次々と落札されていくにつれ、会場の熱もじわじわと上がっていった。

「続いての出品物は――実に特別です」

競売人がもったいぶって言い、声を弾ませる。

「本日の最高額となるコレクション。平原寧々さん、どうぞ!」

平原綾香はわずかに首を傾げた。平原家の懐事情なら把握している。名だたる富豪たちを差し置いて『最高額』など、そうそう出せるはずがない。

スポットライトが一斉に舞台を射抜く。

ゆったりと壇上へ上がった平...

ログインして続きを読む