第48章

「平原さん。よく聞いてください」

 平原綾香は、ひどく落ち着いた声で言った。

「私はあなたじゃありません。まして、平原寧々でもないんです」

「あなたたちが富や名家との縁を手に入れるための道具になるつもりはありません。今までも、これからも、絶対に」

「誤解だ、綾香。僕はそんなつもりで言ったんじゃ……」

 平原明広は慌てて取り繕おうとした。松村グループから協業停止の知らせを受け、今や完全に追い詰められている。彼にとって平原綾香は、松村グループと交渉するために残された、たった一枚の切り札だった。

「誤解?」

 平原綾香は、ふっと笑った。

「誤解かどうかなんて、あなたがいちばんわかっ...

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